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洋楽生まれジャニーズ育ちのヲタクが好きなものを好きなだけ記録

《風が強く吹いている》竹青荘がなくなっても、あの一年は永遠だ|最終話「それは風の中に」(ネタバレ注意)

リアタイぐらいで感想残すつもりが、もう最終回を迎えて一ヶ月経とうとしてるね…時間とは恐ろしい…
それでも原作も読んで最終回を何度見直したことかわからないくらい、風つよロスかつどハマりしてるこの熱量なら書ける!!って思ってキーボード叩いてます。

 

ネタバレ満載なので、読みたくない人はスルーしてくださいね。

 

まず一言、素晴らしい作品だった。
竹青荘のみんな大好きだし、カケルも大好き。でも何より清瀬灰二、あなたが心底愛おしい。こうして文字に起こすだけでも涙で視界が滲んでしまうほどに。
特に最終回「それは風の中に」
走ることを愛して愛して、傷ついて、それでも離れなられなくてまた愛して…愛し続けることを選んだハイジの最後の一時間。その一時間にたどり着くまでの4年間。

走るとはなんなのか

それが知りたくて走るんだと言った情熱は形として実る、二度と走れない時間と引き換えに。なんて美しくて、なんて悲しいんだろう。それでもハイジがゴールテープを切った瞬間、満たされた…。作画がよかった、演出もカメラワークも、エンディングへの入りも。
エンディングまでのラスト3分ほど。
ハイジの辛そうな表情から、沿道で各校の旗を振る人だかり、他校のゴール。そしてハイジが5番目で大手町へ来たことを伝える実況。
高架下を抜けてきたハイジに手を振りながら何やら声をかけているカケル。懸命に走るハイジの右膝が激痛を訴えた瞬間に気づいたとき、カケルが涙を浮かべながら、ゴールテープの向こう側で待つ。そのモノローグが最高だった。
少し泣きそうな声で

あなたは言った、「走るとはなんのか」それが知りたいと。あなたは言った。
…その答えはあなただ。あなたそのものだ。 

大塚くん、この作品でめちゃくちゃ成長したと思う。いい演技だった。

ノローグの中、痛む足を庇うことなく幸せそうな笑みを浮かべて、ただまっすぐに時走るハイジに涙しか溢れないし、言葉にならなかった。まるでドキュメントかと思った。
ゴールテープが宙を舞い、地面に落ちる。そこでエンディングが流れる。ゴールしたハイジは倒れこみ、それを抱えたカケル。悲鳴を上げ切るように足は痙攣を起こしてて、本当に辛かった。
でも満身創痍の体をカケルに支えられながら、アオタケのみんながいる場所へ着いた時に見せたハイジの満足した瞳と笑顔。この表情を見るための半年だったのかと思えたほど、最高だった。
そして終わるエンディングの締めがハイジの

どうだ、見えたか?頂点は!

ハイジは本当に幸せな一時間を走りきり、彼にとっての頂点を見たんだなと感じたセリフ。とっしー最高だった、ありがとう。と言いたい一言だった。

 

ふぅ、一息つこう。
一気に終盤の感想を書いたけど、最終話は22分間いいところしかないから他のシーンも紹介したい。
ここからは多少順を追って。

OP前、ハイジの元チームメイトで箱根駅伝の王者・六道大の主将藤岡一真区間新記録で襷を十区の走者につないだ後のシーン。
記者たちに囲われる中、視線の先に見つけたハイジに近づいて来た藤岡とのやりとりは含みがあって

俺では到底追いつけない

ってハイジが藤岡の走りを賞賛するのに対して

でも蔵原なら

っていう藤岡の口元アップはあえて表情を読ませないようにこのセリフが際立つ演出だった。
でも最後にはハイジの背中を押す藤岡がかっこいいなって。

楽しんでこい

まるでハイジの決意に気付いてるみたいな、そんな一言だった気がする。

 

カケルを待つハイジと王子の中継所でのやりとりもいい。
痛み止めを打ってることを知っていた王子はハイジの傷を心配して無理をしないでほしいと暗に伝えるも、仕切り直して

 どうぞ、好きなだけお走りなさい

 の言葉に嬉しそうな満足そうな顔と声で答えたハイジが可愛かった。

そーする

 

中盤のカケルからハイジへ襷が繋がる瞬間も最高。ラスト100mほどの距離から中継ライン上でカケルだけを見つめて、カケルの走りを愛おしむようなハイジのモノローグ。
これを聞くたびに泣いてしまう。

あの夜、君が目の前を通り過ぎた時、俺は思った。
「夢がそこにある。形になって走っている。」と
叫びたいほどの衝撃だった
俺が求め、足掻き続けたものがそこにあったんだ
ついに届くことのなかった理想の姿
それが君だー

君は知っているか
君の走るその足元には一本の白い光の筋が見えるということを
まるで流星のように

 「ついに届くことのなかった理想の姿」ってなんて辛辣なセリフ。
求めることも諦めることもどちらだって簡単じゃない、求めても手に入らないもの諦めても求めてしまうもの。そういうものがあるんだってこと、ハイジにとってそれが”走る”という行為だということ。それが痛いほどに伝わってくる。なのに襷を受け取るハイジはとても誇らしげで凛としているからグッとくる。

 

走っている間、錆びた器械の擦れる音が流れる。ハイジの故障した右膝が悲鳴をあげる音。ペースをあげるときの一言が切ない。

悪いな、無茶を言って

 

走り終わったカケルが全力疾走で大手町を目指す姿も可愛い。それに振り回させる王子の姿もしかり。
後半ハイジが走っている間、アオタケメンバーのやりとりは可愛いのに、ハイジの呼吸音、故障した高校生の時から今までを振り返るモノローグが切なくて美しい。

走るということが、前よりもっと美しい形で俺の前に還って来てくれたんだ
こんな幸福なことがあるか
嬉しい、涙が出そうだ
俺は本当に幸せだ。たとえ、もう二度と走れなくなったとしても…
俺は走ることが、大好きだ

こんなの泣く以外にある?
何度見ても何度聞いても泣くしか無くなるんだよ…。
だから見てほしい。23話ってまぁまぁボリュームあるけど、見てほしい。
十人の奇跡の一年を見届けてほしい。

ハイジだけじゃない、カケルにも、ニコチャン、ユキ、キング、王子、神童、ムサ、ジョータ、ジョージ。
みんなにドラマがある。東京箱根間を走る十区間にそれぞれの走りと物語があるから、それを知ってほしい。

知った上でエピローグを幸せな笑みとともに見納めてほしい。

心が満たされる。温かいものでいっぱいになる。
そんな素晴らしい作品だから。

kazetsuyo-anime.com

 

ちなみに2クール目のエンディングも向井太一君。必聴です。


TVアニメ「風が強く吹いている」第2クールエンディング映像(エンディングテーマ:向井太一「道」)